俺が君を守ってやる〜御曹司の執愛はどこまでも深く〜
翌朝、私は隣で眠る晴臣さんの顔を見て思わず声をあげそうになった。
そうだった、昨日彼がうちに来て……。
昨日のことを思い出すだけで顔が火照ってくる。
彼の腕の中にいるのが信じられないが、疲れ切った表情の彼を休ませてあげたくて私はそっと腕の中から抜け出そうとした。けれどベッドから出ようとした途端に腕を引かれ、勢いよく倒れかかったところにガッチリと腕を回され抱きしめられてしまった。

「おはよ。どこ行くの?」

「あ、おはようございます」

驚いて思わず口調が固くなる。そんな私の様子を見て何故か楽しそうに笑っている。

「香奈美。俺の部屋に戻ってこない?」

耳元で甘い囁きが聞こえる。
またあの部屋に戻る?
やっと思いであの部屋を出た。また戻れるとは正直思っていなかった。この数週間は特に晴臣さんの気持ちがなくなったのだと思いこみあの場所に戻るなんて想像すら出来なくなっていた。
言葉を失ったままの私の頬を指でつつかれ、顔を上げると彼はすぐにキスを落として来た。
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