俺が君を守ってやる〜御曹司の執愛はどこまでも深く〜
「香奈美……」

合間で私の名前を呼ぶ声に、心の奥が震える。ぎゅっと彼の服を握りしめた。

「これからはここが香奈美の家だ。あの時とは違うからな。俺だって料理も洗濯もするから」

「でも……晴臣さんは忙しいから」

「何言ってるんだ。香奈美だって仕事をしてるんだ。忙しさは同じだろう? もちろん俺も無理な時は言う。だから香奈美も無理しないでほしい」

彼の気遣いが心の底から嬉しい。
多分彼は私の数倍は忙しいだろう。けれど、私を労わるように気を配ってくれる。

「ありがとう。そんなふうに言ってもらえて嬉しい。でも晴臣さんも無理しないで。私を気にかけてくれるのは嬉しいけど、私だって晴臣さんの心配もしたい」

「ありがとう。俺こそ嬉しいよ。お互いに気を遣わず、やっていこう。もし何かあればちゃんと話し合おう。黙ったまま我慢するのとかナシだからな」

そう言うと私の鼻をつまんできた。

「いひゃいです」

「ははは……。可愛いな」

やっぱり家で笑う彼の顔は、会社と違い屈託のない笑顔で私も一緒に笑うことができた。
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