俺が君を守ってやる〜御曹司の執愛はどこまでも深く〜
伊豆に行こうと言われてからも彼は毎日忙しそうで、休みの日はむしろ家でのんびりしていた方がいいのではないかと思った。それを口にしたら、せっかく2人で休みなのだから出かけよう、と言ってくれ旅館の手配もいつのまにかしてくれていた。

「香奈美、そろそろ出られるか?」

はーい、と返事をし部屋からバッグを持ってリビングへ出た。同じ家から一緒に旅行に行くなんて、家族でもないのに何だか不思議だけど胸の奥がくすぐったくなる。
リビングでは彼が腕時計をはめながら待っていた。私のバッグをさっと手に取ると自分の荷物とふたつ持ち、私の手を引いて玄関へ向かった。
後部座席に荷物を載せると車は静かにマンションのパーキングから出た。周囲を見ても私でも知っているような車種ばかりが並んでいるのでため息が出そうになる。このマンションといい、こんな富裕層と一緒に私が住んでいるなんてちょっと不釣り合いで笑ってしまう。ついこの前まで住むところに困っていた私がこんな所にいるなんてあの頃は想像すらしていなかった。
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