俺が君を守ってやる〜御曹司の執愛はどこまでも深く〜
「さぁ、どうぞ」

仲居さんはお茶を淹れると食事時間の確認だけして出ていった。

「晴臣さん! すごい所ですね」

私は興奮してお茶を飲むよりも部屋や庭を見回していた。

「香奈美とのんびりしたくて選んだんだ。気に入ったなら良かったよ」

「気に入らないわけありません。こんなすごい所に泊まったことないですもん。でもなんだか高そうです……」

正直私は悠真と暮らしていた頃から貯金なんて全然できていなかった。生活費を払ったらおしゃれする余裕もないくらいの生活だった。慰謝料だって今の悠真に払える最大限だからそんなに私の生活はまだ余裕がない。

「そんなの気にしなくていい。俺が連れてきたくて選んだんだから」

「でも、そんなわけにはいかないです」

「こら、また言葉遣いが戻ってる。ここは職場じゃない。それに俺は香奈美を甘やかしたい」

そう言うと立ったままの私の手を引くとあぐらをかいた彼の膝の上に座らされた。まさかこんな格好になるなんて、と慌てて膝から降りようとしたがガッチリとホールドされてしまった。目が合うと同時にキスをされ、私も思わず彼の首に手を回した。久しぶりに触れ合う彼の体温に私は酔わされてしまう。背中を触る大きな手が私を求めてくれているようで喉の奥がギュッとなる。
ふぅ……ん
思わず声が漏れ出てしまう。するとその声も漏らさないようにまた彼の口に塞がれてしまう。だんだん深まるキスに止まらなくなってしまい、どれだけしていたのだろう。お互いの口を指で拭いあうと笑ってしまった。
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