俺が君を守ってやる〜御曹司の執愛はどこまでも深く〜
「風呂に入るか?」

「そうですね。でも……ここって丸見えです」

部屋から露天風呂は丸見えだった。何度も身体を重ねてきたがこんな明るいところで見られるのは恥ずかしい。でもそんな私の気持ちを汲んだのか、旅館自体に大浴場があると教えてくれた。
ふたりで浴衣を持つと歩いて母屋へと向かった。大浴場も広く、外には露天風呂があったが誰もおらず、何だかとっても贅沢な気がした。
お風呂から上がると暖簾を出たところに晴臣さんが座っていた。

「あ、ごめんなさい。遅くなってしまって」

「いや、大丈夫。どうだった?」

「すごく良かったです。スベスベになりました」

私が浴衣から出た手を見せると、彼がどれどれと言わんばかりに手をさする。

「うんうん、ホントだな。ここのお湯はいいな」

「ちょっと! もう」

まだ少し汗ばんだ肌を触られて恥ずかしくなってしまう。それよりも彼の浴衣姿が何とも言えず色気があり、どこを見たらいいのか分からず視線を外した。旅館の濃紺の浴衣なのにどうして彼が着ると似合ってしまうのだろう。
部屋に戻るとすでに料理が並べられていた。飲み物の確認をするとまたふたりきりになった。

「じゃ、乾杯」

用意されていた梅酒のグラスを合わせた。あまりお酒に強くない私でも甘めで飲みやすい。彼はビールを頼んだが、私のために準備された果実酒は飲み口もよくつい進んでしまった。
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