オタクな生徒が俺を「柊弥たそ」と呼び、讃え崇めてきます。

「凛々子殿~!! ついに推しを愛でる小説を執筆する許可が出たでござるよ~!!」
「おぉ、それは本当か小夏殿!!!」


ボランティア部が休みのこの日。

伊藤さんは網本さんを連れて、文芸部の部室に来ていた。


「もう好きなように執筆して下さい~」
「なぬっ、柊弥たそ!!! 投げやりになってはいけないでござる!! 許可を出したからには、拙者が書いた文章を添削してもらうでござるよ!!!」
「えぇ~、どうしようかなぁ」
「許可を出した責任は取るでござる!!」



前より明るく、表情がより豊かになった伊藤さん。

そんな様子が嬉しくて、思わず頬が緩む。




「まぁ、伊藤さん。取り敢えず書いてみようよ。添削云々は…その後のお話」
「むむ~…」




仮面を取り払うにはまだまだ時間は掛かるだろうけれど。

そんな伊藤さんを俺が1番近くで支えていくと…心の底で、固く決心した。




















オタクな生徒が俺を「柊弥たそ」と呼び、讃え崇めてきます。  終






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