社畜地味OLは異動してきた甘々上司に甘やかされるそうです。

第1話

 朝。通勤に使う電車はいつも満員に近い状態で座る事は出来ない。重い足を引きずりながら電車に乗り込む。たったこれだけでも体力を使い切ってしまいそうになる。

「はあ……」

 重いため息が一気に吐き出された。だが誰も反応する事は無い。それくらい当り前か。
 私は田中知代子。30歳。某企業でOLとして働いている。自分で言うのもなんだが社畜である。今日はこうして自宅から職場に向かっているが職場で寝泊まりするなんてよくある事だ。
 なぜ社畜なのかと言うと、ただでさえ仕事が多いのにさらに先輩や後輩に同僚が理不尽に仕事を押し付けて来るからである。私に押し付けてくる理由は「田中さんならこなしてくれそうだと思ったから」がほとんど。断っても聞き入れてくれない。
 正直言ってバカすぎてあきれる。そういうやつらは皆定時退社なのも余計に腹立つ。で、定時退社後はデートするとかどっか飲みに行くとか。そこに私は誘われた事が一切ない。

「田中さんって地味だよね」
「それな。ほんと地味子って感じでウケる(笑)」
「確かに。ってか絶対処女だよねあの人」

 陰でそう女子達に笑われる事もあった。私だっておしゃれはしたい。でも仕事で忙しくて時間が無いしそもそも仕事を押し付けて来るのはお前らだろ。と何度突っ込んだ事か。
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