社畜地味OLは異動してきた甘々上司に甘やかされるそうです。

「……知代子さん！」
「……あ」
「大丈夫ですか？　病院行きます？」

　ああ、さっきめまいを起こして倒れたんだっけ。私は上川部長の介抱を受けゆっくりとベッドから起き上がる。幸いめまいは起こらなかった。

「大丈夫です。情報量が追い付かなくてそれでめまい起こしちゃったと言うか……」
「そうですか、なんだかすみません」
「いえいえ。部長は謝らないでください。あのせっかくなんで昨日あれからどんな感じだったか聞いてもいいですか？」
「ああ、知りたいですか？」

　上川部長の口角が吊り上がる。それはまるでいたずらっ子がいたずらを成功させた時の笑みに近しいものを感じた。
　……彼の言葉を元に昨日の出来事をまとめていく。

「腕離しますよ」

　この時、私は上川部長から離れず、木にぶら下がるナマケモノのような状態で彼の首や背中に両手をまわしていた。