社畜地味OLは異動してきた甘々上司に甘やかされるそうです。

　部長が呼んだタクシーに乗り込み、ショッピングモールへと移動する。確かにタクシーなら会社の人間に見られる可能性は低いだろう。

「到着しました」

　キッとタクシーがショッピングモールの入口付近で停車する。料金は上川部長がクレジットカードで支払ってくれた。

「ありがとうございます、部長……」
「これくらい気にしないでください」

　ショッピングモールには様々なブランドショップが並んでいる。上川部長はそれらにじっと目を通しつつ、この服はどうですか？　と私に聞いてくる。
　だが、私はファッションにはそこまで詳しく無い。

「似合いますかね……？　それに流行りとかよくわからなくて」
「じゃあ、自分が着たい服を着るのはどうですか？」
「それもよくわからないんです。ずっと縁が無いというか母親が適当に見繕ってきたものを着ているので」
「そうでしたか……では店員に聞いてみましょう」

　左横にあるブランドショップへ入ると早速上川部長が店員に話しかけた。

「この方に似合うファッションを探しているんです」
「了解しました。ではこちらのマネキンが着ているようなファッションはいかがですか？」