社畜地味OLは異動してきた甘々上司に甘やかされるそうです。

「んんーー！　美味しいですこれ！」

　いくらでも食べられそうな味だ。フォークとスプーンを持つ手が止まらない。

「おいしいっ……いくらでも食べられる……！」
「知代子さん、お代わりします？」
「えっ、お代わり出来るんですか？！」
「せっかくですしもう1皿追加で注文しちゃいます？」

　しかし普段昼食はあまり食べていないのが響いたのか、残り3分の1になった頃合いでお腹がいっぱいになって来たのだった。

「すみません、なんかもうお腹いっぱいに……」
「そうなんですね、無理はしないでください。お腹が痛くなったらきついですし」
「ですよね、なんかすみません」
「謝らなくて大丈夫ですよ。知代子さんのペースで大丈夫ですから」

　そう言って上川部長はにっこりと笑ってくれた。

（焦らなくていい。ゆっくり食べよう）

　こうして完食した後はジュースを飲みながら一息ついてから退店したのだった。
　ショッピングモールでの買い物が終わった後は上川部長の自宅に戻り、早速彼が購入してくれた服を着てみる。洗面台の鏡の前に立つと今までの地味だった自分はもうどこにもいなくなっていた。

「すごい似合ってますよ。かっこいいです」
「ありがとうございます。部長のおかげですよ」