社畜地味OLは異動してきた甘々上司に甘やかされるそうです。

　はあ。こんなタイミングでこの量の書類をデータ化しないといけないのか。さすがにため息を隠し切れない。

「田中さんパーティー行くの？」
「どうせ行かないだろうし仕事頼んできたわ」

　彼女達の私をあざ笑う声が聞こえて来る。そしていつの間にか部屋にいるのは私だけとなったのだった。しんとした静けさと外の道路から聞こえて来る車の行きかう音。そして私がキーボードを押す音が混ざりあう。

「っくそ……なんなんだよ……！」

　ついいら立って右手でデスクを叩いた。ちょっと掌が痛くはなるが少しは気は紛れた気がする。私はその後1人で書類と格闘し終わった時は夜の22時を過ぎようとしていた。

「はあ……やっと終わった……」

　誰もいなくなった部屋でタイムカードを押し、荷物をまとめてさっさとオフィスを後にする。
　それにしても外はネオンが煌びやかに輝いていてあまりの輝きにむしろ毒々しささえ感じるなと思いながら街を歩き駅まで向かう。道中お腹が空いたのでコンビニに寄っておにぎりかチキンでも買うかと思って入店しようとすると若い男性と左肩をぶつけてしまった。

「あっ！　すみません！」

　急いで謝ると男性からは大丈夫ですか？　と心配そうに声をかけられる。

「私は大丈夫です。そちらこそ大丈夫ですか？」