社畜地味OLは異動してきた甘々上司に甘やかされるそうです。
「んじゃ、どうぞ!」

 男性が作ったのは焼き鳥風に味付けした鶏肉をほかほかのご飯の上に乗せたどんぶりだった。それに卵とシーチキンに切り刻まれたハムが入ったポテトサラダにとろみのある中華風スープにいんげんの胡麻和えにサーモンとマグロの赤身の刺身まで並ぶ。

「わわわ……」

 あまりの品数の多さに思わず圧倒されそうになる。普段自炊する時もここまでは作った事が無い。あっけにとられていると男性からどうしたんですか? と聞かれたので正直に品数に圧倒された事を伝える。

「いっつもはここまで食べなかったり作らなかったり、という感じですか?」
「あ、そうです。もう疲れちゃって体力が持たないと言うか……」
「なるほどなるほど。てかそんな状態で体調崩したりはしないんですか?」
「熱くらい解熱薬飲んで我慢しろってのがうちの方針なんで……」

 男性は相槌を打ちながら冷蔵庫から取り出したキンキンに冷えたビールの缶を開けて透明のグラスに並々注ぎ、私に渡してくる。
 ちょっと振動が起きるだけでもビールの液体がグラスの縁から零れ出てしまいそうだ。

「ビールの量これくらい行けます? 運転とかしないですよね?」
「あ、勿論行けます。私ペーパーなんで運転は無理です」
「そうですか。なら飲んじゃいますか」
「はい!」
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