身代わり婚だったのに、極甘愛で満たされました~虐げられた私が冷徹御曹司の花嫁になるまで~
 やっと当人同士の対面が叶うことになったというのに、亜希奈は先月パーティで出会った俳優志望の若い男性と恋に落ち『真実の愛を見つけたと』言ってお見合いを拒否して家を出てしまった。
 どんなに説得しても聞かず今は彼の家で同棲しているらしい。
 
 慌てた伯母は仕方なく姪である結乃を代役としてあてがったのだ。

 宇賀地ホールディングスはこれまで嵯峨建設にいくつかの大口の建設工事を発注している。
 この縁談を足掛かりにして嵯峨建設はさらにグループのもつ莫大な資金力の恩恵にあずかりたいのだろう。

(それにしても宇賀地さんはお見合い相手が変わることを了承したよね。家柄が良ければだれだって構わないってことなのかな)
 
 もっとも宇賀地家が見合い直前で縁談相手が変わることを了承したのは、伯母が結乃も嵯峨家で申し分ない教養を身に着けた令嬢だという大嘘をついているからかもしれない。

 普通ならこんな無茶な話引き受けたくなかったのだ、結乃にはやむにやまれない理由があった。
 ひとつは伯母に大学の学費を出してやった恩を返せと言われたこと。
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