身代わり婚だったのに、極甘愛で満たされました~虐げられた私が冷徹御曹司の花嫁になるまで~
6.本当の幸せとは
「気を付けるんだぞ。カギを掛けるのはもちろんだが、誰が来てもドアを絶対に開けるな」

「わかりました」

「宅配業者もダメだ。荷物は全部コンシェルジュに預かってもらうように。インターフォンでも知り合いを装って入ってくる奴がいるかもしれない」

「はいはい、結乃さんは子ヤギじゃないですから。名残惜しいのは分かりますけど、そろそろ出ないと飛行機に間に合わないんで」

 妻に何度も言い聞かせている耀を、迎えに来た湊が呆れながら玄関から連れ出そうとしていた。

 日曜の昼下がり、今日から七日間、耀はアメリカに出張する。結婚して初めての海外出張なので耀は妻のことが心配でならないようだ。

「送り迎えはハイヤーを手配してあるから」

「はい。耀さんも湊さんも気を付けて行ってきてくださいね」

「承知しました。お土産に結乃さんが好きそうなチョコレート買ってきますね」

「わ、嬉しい。楽しみにしてます!」

「湊、行くぞ」

 湊に笑いかけていると耀は不機嫌そうな声で玄関から秘書を追い出す。
 そのまま一緒に出て行くのかと思いきや、自分だけ中に残りなぜか鍵まで閉めてしまった。

「おーい、専務?」
< 131 / 160 >

この作品をシェア

pagetop