身代わり婚だったのに、極甘愛で満たされました~虐げられた私が冷徹御曹司の花嫁になるまで~
「宇賀地側は問題ないわよ。結乃ちゃん聞いてる? 宇賀地さん、5月にはアメリカに赴任するって。しかも赴任前に次期社長に指名されるそうよ」

「え……」

 結乃が絶句していると亜希奈は「やっぱり知らないんだ」と笑みを深めた。

 耀は三か月後、宇賀地グループが買収したアメリカの企業のCEOとして赴任する。
 数年後日本に戻ったタイミングで宇賀地グループの社長に就任するが、内外に耀の立場を知らしめ地位を盤石にするため渡米前に正式に次期社長として指名されるらしい。

「ちゃんとお父様の筋で確認済み。アメリカの企業トップとなればそれ相応の妻が必要でしょ? 身代わりになった従姉妹は庶民の育ちで教養も無く、宇賀地家には相応しくないから、私が妻として帯同しますって宇賀地の本家に申し出てるの」

「噓でしょ……今更そんなこと、認められるわけない」

 何とか出した声は震えていた。

「じゃあ、結乃ちゃん、英会話はできるの? マナーは?」

「それは……」

 言い淀む結乃に亜希奈は続ける。
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