身代わり婚だったのに、極甘愛で満たされました~虐げられた私が冷徹御曹司の花嫁になるまで~
「まずは、座りましょうか」

 耀は結乃に視線をやると座るように促した。

「嵯峨さんの家にはこんなに可愛らしいお嬢様もいらしたのね」

 宇賀地側は耀の母が息子に同伴していた。
 お互い簡単に自己紹介をした後、伯母と耀の母が中心となり会話が進む。

「えぇ、妹夫婦は早くに亡くなりまして、かわいい姪ですから嵯峨家で娘同様に教育してまいりましたの。少々大事にし過ぎて世間知らずかもしれませんが、行儀作法はしっかりしておりますので」

「あら、大変でしたのね」

 耀の母は美人で上品、話し方ものんびりしていていかにも育ちが良いといった雰囲気の女性だ。

 始めから結乃が見合い相手だったと錯覚してしまうほど亜希奈の話は出さずに会話が進んでいく。
 耀は卒なく会話を合わせているが、積極的に広げようとはしていない。

(宇賀地さん、きっとこんな小娘が出て来てガッカリしているんだろうな)

 華やかな美人顔の従姉妹に比べたら自分はさぞかし見劣りしているだろうと思う。

(でも、この人がなにを思っているか、いまいちわからないんだよね)
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