身代わり婚だったのに、極甘愛で満たされました~虐げられた私が冷徹御曹司の花嫁になるまで~
 普通に考えればわかることだと思うが、伯母は思い至らないのだろうか。

 結乃は常識的な話をしているつもりなのだが、まともにとりあってくれない。

「そんなの、あなたからも育ちが悪いから宇賀地の嫁にはふさわしくありませんと伝えれば宇賀地さんも納得するでしょう」

 血筋を理由に結乃を見合いの代役として利用し、今は育ちが悪いという理由で別れさせようとしている。
 清々しいくらい自分たちのことしか考えていない。

「宇賀地さんと亜希奈がアメリカから帰ってくるころには、あなたと結婚したことなんてだれも覚えてなんていないわよ」

「そうね。初めから私と結婚していたことにしておけばいいわ。それなら少しでも早く結乃ちゃんにあの家を出てもらわないと」

 亜希奈もすっかりその気になっていて「すぐにでも宇賀地さんとお話ししたいわ。ねぇお母様、いつ会えるの?」と伯母にすり寄っている。

「ちょっと待ってください。家を出るのはもちろん、私、宇賀地さんと別れたくないんです」

 必死に伯母に訴えるが、返ってきたのは冷たい言葉だった。
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