身代わり婚だったのに、極甘愛で満たされました~虐げられた私が冷徹御曹司の花嫁になるまで~
「結乃、そんなにお金持ちと結婚したければ、他の縁談を探してあげてもいいわ。あなたは血筋だけはいいからなんとかなるわよ」

「伯母さん……」

 心から悲しくなる。伯母はなぜ昔から自分にこんなにつらく当たるのだろう。

 結乃は両親を失った時、山崎の家族以外に血の繋がった人たちがいると知って嬉しかったし、伯母が後見人になってくれた時は家族として迎えてくれると期待してしまった。

 結乃にとって家族とは、普通に話をして一緒に食卓を囲み、お互いを思いやるものだったから。

 しかし、嵯峨家の暮らしは結乃が思っていたものとは程遠かった。

「……どうして伯母さんは私をそんなに嫌うんですか」

 ずっと胸にあった疑問を初めてぶつける。すると伯母は目を細め蔑むように結乃を見た。

「心外ね。親を亡くしたあなたを引き取って大学の費用まで出してあげたのに。勝手な所、美佐子にそっくりだわ。そんなだとあなたも不幸になるわよ」

「……お母さんが不幸だったって言うんですか?」

 母の名前を出され、結乃の口調が強くなる。
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