身代わり婚だったのに、極甘愛で満たされました~虐げられた私が冷徹御曹司の花嫁になるまで~
 伯母に続く亜希奈の言葉に結乃は唖然とする。そんなものまで本家に送り付けているなんて。
 きっと耀の祖父の知るところになっているだろう。

 しかし耀は全く意に介さない様子だ。

「結乃があなた方の言う”育ちの悪い”女性だとしても、私はそれを承知で結婚しています。ああ、本家のことでしたら出張先に祖父から電話が来て怒られましたよ『儂の孫の嫁にケチをつけてくる輩がいて気分が悪い。嵯峨家はどうなってるんだ。お前が何とかしろ』と」

 さらに耀は付け加えるかのように結乃を振り返って言った。

「結乃、爺さんが『結乃が最近来ないのはどうしてだ。菓子が溜まってるから取りに来い』と言っていたぞ」

「え……おじいさまが?」

「あの爺さんに気に入られるなんて大したものだ。あの人はもう君の素性なんて気にしていない」

「気に入られるようなことは何もしてないと思うんですが……」

 たまに宇賀地家に顔を出し、義母と話して祖父に挨拶して帰るだけ……そういえば、暇だから付き合えと言われて一度将棋を指したことを思い出す。

(山崎のおじいちゃんとよくやっていたからお相手出来たんだよね)
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