身代わり婚だったのに、極甘愛で満たされました~虐げられた私が冷徹御曹司の花嫁になるまで~
「結乃さんのお母上は家を出たとはいえ前の当主の娘です。遺産が一切ないとは考え難い。ご両親亡きあとはそのお金は結乃さんが相続するはず。でも、一切その形跡はなく、実際山崎家は家を改修する費用にも困るほどだった」

「それは父が美佐子には一切残さないように遺言を残していたから」

「いいえ。遺言には娘の美佐子さんに遺産の半分を相続させるように明記されていた」

 湊の言葉にその場がシンと静まり返った。

「どういう、ことですか? お母さんは嵯峨家に勘当されたんですよね」

 混乱した結乃を落ち着かせるように耀は隣に立ち背中に手を添えた。

「嵯峨家の前の当主、結乃のお祖父さんは君のご両親が亡くなる数年前に他界しているが、君のお母さんを勘当したことを本当は後悔していたんだ。せめて財産は正当に残してやろうと公的な遺言状を残していた。それを改ざんしたのは君の伯母さんだ」

「え、伯母さんが?」

「そんなの嘘よ! 証拠はどこにあるの!」

 今までの様子から一変、明らかに伯母は動揺していた。

「証拠ならここにまとめてあります。ご子息の協力のおかげで案外すぐに真相がわかりましたよ」
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