身代わり婚だったのに、極甘愛で満たされました~虐げられた私が冷徹御曹司の花嫁になるまで~
「当たり前だ。そもそも姉さんが結乃ちゃんの代わりになれるはずないだろう」

 巧巳は呆れているが亜希奈は納得がいかないようだ。

「話が違うわ、私、社長夫人になりたかったのに……」

「亜希奈さん、あなたがお見合いから逃げてくれて感謝しています。おかげで私は妻と出会うことができた。そのお礼に教えてあげます」

 耀は結乃の肩を抱いたまま口の端をあげた。

「結婚はお互いが幸せになるためにするものです。ステータスでしか相手を見ようとしない、そんな硬い頭のままだと、一生ロクな結婚できませんよ」
 

 嵯峨家を辞した後、湊の運転する車で自宅に向かいながら、結乃は顛末を説明された。

「嵯峨巧巳さんがこちらに協力してくれたのはごく最近のことだ」

 秘密裏に嵯峨家の調査を続けている最中、『母が不正をしているかもしれない』と巧巳から連絡が入ったのがつい二週間前だった。
 耀は巧巳を警戒しつつ大阪とテレビ会議で繋ぎ話をした。

『僕はもう逃げたくない。全てをはっきりさせて嵯峨家を一から立て直す覚悟です。結乃ちゃんの為に力を貸していただけないでしょうか』
< 150 / 160 >

この作品をシェア

pagetop