身代わり婚だったのに、極甘愛で満たされました~虐げられた私が冷徹御曹司の花嫁になるまで~
 マンションに着き、湊が玄関にスーツケースや大きなバッグを運び入れながら説明してくれる。

「助かりましたよ、さすがに人様の家に許可なく殴り込むわけにはいかないですからね。まあ専務ならやったでしょうけど。目つきヤバかったし。あ、結乃さんへのお土産このバッグの中ですから」

 細かい色々は夫婦で確認し合ってくださいと笑い、湊はさっさと帰ってしまった。

 玄関のドアがしまる。

「湊さんあっという間に帰ってしまいましたね。コーヒーでもお出ししたらよかったかな」

「あいつのことはいい」

 腕を引かれたと思った瞬間、耀に正面から抱きしめられた。

「……結乃」

 まるで少しでもくっついて結乃を感じたいと思っているかのように耀は体全体ですっぽりと覆ってくる。

(あったかい……耀さんだ)

 大好きな香りと温もり。その安心感に涙が出そうになりながら結乃も耀の背中に手を伸ばす。

「……お帰りなさい」

「会いたかった」

「私も、です」

 しばらくそのままお互いの存在を確認した後、少し体を離し耀と視線を合わせた。
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