クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました
1.クールな彼は許嫁!?
中学2年生になって、最初の週末。
陽射しが強くなってきた、4月のある日のこと。
私、澄野星奈は、お父さんとお洒落なカフェに来ていた。
お父さんから『大事な話がある』って言われたんだけど、何なんだろう。
九州に単身赴任中のお父さんが、その話をするためにわざわざこっちに帰ってきたなんて、よほど重要なこと?
「ねぇ、お父さん。話って何?」
私はアイスココアを飲みながら、隣に座るお父さんに尋ねる。
「ああ、そのことなんだけど……」
またもや黙り込んでしまったお父さんは、いつもより何だか神妙な顔つきで。
なんとなく嫌な予感がする。
「あのな、星奈。実は、星奈には……将来結婚の約束をした許嫁がいるんだよ」
「ぶっ!」
お父さんからいきなりそんなことを言われた私は、飲んでいたアイスココアを吹き出しそうになってしまう。
「は!? え? い、許嫁!?」
「ああ」
「お父さんったら、いきなり何を言い出すの!? 変な冗談はやめてよ」
「冗談なんかじゃない。許嫁って言っても、星奈もよく知ってる人だから」
知ってる人って……。
「あっ、噂をすれば来た来た。おーい、朝陽! 陽向!」
お父さんが席を立ち、こっちこっちと笑顔で手招きをしている相手の顔を見た瞬間、私は大きく目を見開く。
< 1 / 170 >