クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました

1.クールな彼は許嫁!?



中学2年生になって、最初の週末。


陽射しが強くなってきた、4月のある日のこと。


私、澄野(すみの)星奈(せいな)は、お父さんとお洒落なカフェに来ていた。


お父さんから『大事な話がある』って言われたんだけど、何なんだろう。


九州に単身赴任中のお父さんが、その話をするためにわざわざこっちに帰ってきたなんて、よほど重要なこと?


「ねぇ、お父さん。話って何?」


私はアイスココアを飲みながら、隣に座るお父さんに尋ねる。


「ああ、そのことなんだけど……」


またもや黙り込んでしまったお父さんは、いつもより何だか神妙な顔つきで。


なんとなく嫌な予感がする。


「あのな、星奈。実は、星奈には……将来結婚の約束をした許嫁がいるんだよ」

「ぶっ!」


お父さんからいきなりそんなことを言われた私は、飲んでいたアイスココアを吹き出しそうになってしまう。


「は!? え? い、許嫁!?」

「ああ」

「お父さんったら、いきなり何を言い出すの!? 変な冗談はやめてよ」

「冗談なんかじゃない。許嫁って言っても、星奈もよく知ってる人だから」


知ってる人って……。


「あっ、噂をすれば来た来た。おーい、朝陽(あさひ)! 陽向(ひなた)!」


お父さんが席を立ち、こっちこっちと笑顔で手招きをしている相手の顔を見た瞬間、私は大きく目を見開く。
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