クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました
陽向はもうとっくに食べ終わってるから、先に帰るのかな……と思っていたら。
「大丈夫か?」
なんと陽向が私の隣の席に座り、私の背中をトントンと叩いてくれる。
「ほら、ハンカチ。まだ使ってないから、これで目元の涙拭けよ」
「あっ、ありがとう」
陽向が予想外に優しくて、私は別の意味で泣けてくる。
「ごめんね。迷惑かけて……」
「いいよ。星奈が食べ終わるまで、待ってるから。ケーキゆっくり食べなよ」
「えっ。陽向、待っててくれるの?」
「ああ。俺が星奈をひとりで置いて帰れるわけないだろ。そんなことしたら、また父さんに何を言われるか分かんねぇし」
ガシガシと頭を掻く陽向の頬は、ほんのりと赤くなっている。
お父さんに叱られるのが理由だとしても、嬉しいな。
私はゆっくりと、ショートケーキを口に含む。
「……美味しい」
「そっか。良かったな」
陽向がふわりと微笑む。
久しぶりに見る陽向の笑顔に、私の胸はきゅんと鳴る。
この日久しぶりに陽向の優しさを感じて、私は改めて陽向が好きだと思った。