クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました
13.陽向のリクエスト
土曜日の夕方。
「陽向。今日の夕飯、何が良い?」
私は陽向の家で、リビングのソファに座って読書する陽向に尋ねる。
6月中旬の今。土曜日限定の陽向とのふたり暮らしも、3ヶ月目に突入した。
これまで私が『夕飯何が良い?』と聞いても、いつも『何でも良い』と言われてきたから。
おそらく今日も同じ答えなんだろうなと、思っていたら。
「……久しぶりに餃子が食べたい」
陽向が文庫本から顔を上げ、答えてくれた。
「餃子かあ。いいね!」
「俺、いま読書中だから。あんまり大声出さないでくれない?」
「あっ、ごめん」
陽向に初めて夕飯のリクエストをしてもらえたことが嬉しくて。
いつもよりも、声のボリュームが無意識に大きくなっちゃったみたい。