クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました
「もう18時だし。わざわざ今から買い物に行くのなら、別に無理して餃子を作ってくれなくても……」
「気にしないで。私も久しぶりに、餃子が食べたい気分だし。それに、私が作りたいの」
何より一番は、私が陽向のために作りたいんだ。
少しでも、陽向の喜ぶ顔が見たいから。
「だったら、俺も行く」
「え?」
「これから行ったら、帰る頃には日が暮れるだろ? 星奈ひとりじゃ、危ないっつうか。その……俺が心配だから」
照れくさそうに、陽向が前髪に手で触れる。
うそ。陽向、私のことを心配してくれてるの?
女の子扱いしてくれる陽向に、嬉しさがじわじわと胸に広がっていく。
「ほら。行くなら、早く家を出ないと。帰りがもっと遅くなっちまう。さっさと行くぞ」
「うん!」
先にリビングを出た陽向を、私は追いかけた。