クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました
陽向の家から10分ほど歩いて、近所のスーパーに到着。
「カゴ、俺が持つから」
当然とばかりに、陽向が買い物カゴを持ってくれる。
「それで? 餃子の皮と、他に何を買うの?」
「えっと、キャベツと……」
私は陽向に、買う物を伝える。
「だったら、俺は野菜を見てくるから。星奈は、餃子の皮とひき肉を見てきてよ。そのほうが、早いだろ?」
「そうだね。分かった」
また後で落ち合うことにし、私は陽向と別れて精肉コーナーへと向かう。
そういえば、小学生の頃にもおつかいで何度か陽向と一緒にこのスーパーに来たことがあったなあ。
そのときも今日みたいに『カゴは俺が持つ』って、陽向が言ってくれて……ふふ、懐かしい。
それからお目当ての餃子の皮とひき肉を手にした私が、陽向がいるであろう野菜コーナーへと足を運ぶと。
「あれー? 一之瀬くんだ!」
キャベツを選んでいる陽向に、同世代くらいの女の子が声をかけているのが見えた。
うそ。あの子……同じクラスの田中さんだ。
学校では陽向との週末の同居を秘密にしているため、私は咄嗟に物陰に隠れる。
それに、この前のそーちゃんのときみたいに、人気者の陽向と付き合っているとか、そういう噂が流れても困るから。