クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました
︎︎︎︎14.恐怖
「それじゃあ、星奈。また明日ね」
「うん。バイバイ!」
この日の学校が終わり、私は昇降口のところで天音ちゃんと別れる。
いつもは天音ちゃんと、駅まで一緒に歩いて帰るんだけど。
天音ちゃんは今日急ぎの用があるらしく、学校にお迎えの車が来ているらしい。
ひとりなら、駅前の本屋さんにでも寄って帰ろうかな。
今日は、いつも読んでる少女漫画の新刊の発売日なんだよね。
そんなことを考えながら、私がローファーに履き替えようとしたときだった。
──グイッ。
私は横からいきなり、誰かに腕を掴まれてしまった。
「だっ、誰!?」
「澄野さん。悪いけど、あたしと一緒に来てくれる?」
「えっ!?」
腕を掴んでいる人は、全く面識のない女の子。
「突然ごめんね。あたし、4組の西田っていいます」
4組の西田さん? やっぱり知らない。
「あなたに、ちょっと聞きたいことがあるの」
「聞きたいこと?」
「ええ。すぐに終わるから……ねっ?」
ニコッと微笑む西田さん。
でも、その笑顔とは裏腹に、私の腕を掴んでいる西田さんの手の力は思いのほか強くて。
簡単に振りほどくこともできず、私は彼女についていくしかなかった。