クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました
「いっ……!」
尻もちをついた際に足を捻ったらしく、右足首にズキッと痛みが走る。
「一之瀬くんという許嫁がいるくせに。秋川くんやこうちゃんまで、たぶらかさないでよ!」
「わっ、私はそーちゃんたちのこと、たぶらかしてなんかいない。ふたりとも、大切なクラスメイトで……」
私が言葉を発すると、4人に一斉に睨みつけられる。
ひいっ。コンクリートに尻もちをついたままの私を、4人が取り囲むようにして立っていて……すごく怖い。
「大切なクラスメイトとか。そういうの、ほんとウザ」
「どうして一之瀬くんだけでなく、こうちゃんも想良くんも……こんな子が良いの?」
「ありえないわ」
4人とも口々に言うばかりで。私の話なんて、誰ひとり聞く耳を持ってくれない。
私は、唇を噛みしめる。
「みんなのTOP3のことを独り占めした悪い子には、罰を受けてもらわなきゃ」
え? 罰ってなに……?!
「行きましょう」
私のカバンを手にした金髪さんの声を合図に、女子のみんなが出入口のほうへと歩いていく。
「澄野さん。しばらくここで、反省するといいわ」
ガシャン!
そして、勢いよく屋上の扉が閉まった。