クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました
ふと空を見上げると、先ほどよりも雲行きが怪しくなってきた。それに、雨のにおいもする。
数日前に梅雨入りした6月の今、いつ雨が降り出してもおかしくない。
そもそも、どうして私がこんなことに……。
確かに陽向とは、幼なじみで許嫁だけど。
そーちゃんや水上くんと、普通に友達として仲良くするのはいけないことだったの?
鼻の先にポツンと、雨粒が落ちる。
視線を上にやると、灰色の空からパラパラと雨が降り始めた。
「まずい」
どこか雨に濡れないところに避難しようにも、屋上に屋根などはなくて。
雨をしのぐことは、できそうにない。
雨足はどんどん強くなり、私の体はあっという間にびしょ濡れになっていく。
「さっ、寒い」
私は、ブルブルと震える。
今は6月とはいえ、ずっと雨に打たれ続けていたら、さすがに身体が冷えてしまって寒い。
「うっ、うう……お願い。誰か助けて……」