クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました
バンッ!!
屋上の扉が勢いよく開いて、誰かが飛び出してきた。
「星奈っ!!」
えっ……。
「ひな、た……?」
うそ。もしかして、これは夢?
「おい、星奈! 大丈夫か!?」
頭がボーッとするなか、私はこちらに駆けつけてきた陽向を見つめる。
心なしか、陽向は泣きそうな顔をしていた。
「ひな……っ」
そんな彼に私が手を伸ばすと、その手をキュッと握られた。
「ああ、星奈……見つかって良かった」
私の前で両膝をついた陽向が、雨に濡れて冷たくなった私の体を、ぎゅうっと力強く抱きしめてくる。
ああ、陽向の温もりだ。すごく、すごく温かくて……安心する。