クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました
星奈が門限を破ったのは、隣町の公園で球技大会のバスケの練習をしていたあのときの一度だけ。
真面目なあいつが、おばさんに黙って家に帰らないなんてことはありえない。
俺はスマホを取り出し、星奈に電話をかける。
だけど、いくら待っても星奈が電話に出ることはなく、留守番電話のアナウンスが流れだす。
何だろう。ものすごく嫌な予感がする。
俺は猛ダッシュで自分の家に行き、学校のカバンを置くと、制服姿のまま家を出る。
すると、頬にぽつんと冷たいものが当たった。
「ちっ。こんなときに雨かよ」
俺は傘を手に取ると、星奈の家へと向かって走る。
「陽向くん!?」
「あの。俺、今から星奈のこと探しにいきます」
「え!?」
「もし星奈が帰ってくるといけないので、おばさんはこのまま家にいてください」
おばさんに早口で言うと、俺はひとり走り出した。