クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました
俺は、真っ直ぐ前を見据える。
「星奈! いたら返事してくれーーっ!!」
俺はずっと走り続けていた足を止め、道端で呼吸を整える。
「はぁっ、はぁ……」
俺がこうしている間にも、時間だけがどんどん過ぎていく。
くそっ。このまま一人で探してても、埒が明かねえ。
一人での捜索に限界を感じた俺は、他の人にも協力をあおぐことにした。
友人に頼み事なんて、今までほとんどしたことがないけど。
ピンチの今、俺が頼れるのはあいつらしかいない。
俺はスマホを手にすると、想良と虹輝にグループ通話する。
『ハーイ! こんな時間にどうしたの、陽向』
想良の相変わらずなテンションに、俺は思わず苦笑する。
「星奈が、家に帰っていないみたいで。ずっと探してるんだけど、まだ見つからなくて」
心なしか、声が少し震えてしまう。
「頼む。俺と一緒に、星奈を探してくれないか?」
『それは大変だね。分かった』
『せーちゃんは、僕たちの大切な友達だ。もちろん協力するよ』
「サンキュー、ふたりとも」
俺の頼みを、二人は快く引き受けてくれた。