クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました
バンッ!!
扉を開けた途端、ぶわっと強い風が吹きつける。
外は変わらず雨が降り続いていて。灯りがひとつもない屋上は、真っ暗だ。
星奈、どこにいる!?
「星奈っ! せーな!!」
俺は、屋上の隅で体を丸くする星奈をようやく見つけると、一目散に駆けていく。
「ひな……っ!」
俺へと手を伸ばした星奈の顔は、雨と涙でぐしゃぐしゃだった。
そんな彼女を俺は人目もはばからず、ぎゅっと抱きしめる。
雨に濡れた星奈の体は、プルプルと震えていて。氷のように冷たくなっていた。
「ごめんな、星奈。本当にごめん」
星奈を抱きしめ、ただ謝ることしかできない自分が情けないけれど。
とにかく星奈が無事で、本当に良かった──。