クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました
「それは……」
陽向が口ごもる。
「星奈が俺と許嫁だったせいで、女子の反感を買ったって知って。恋人でもない俺たちが、中途半端に許嫁でいるのは良くないと思った」
私は、陽向の話に黙って耳を傾ける。
「そして何より……俺は、まだ子どもだから。いきなり婚約じゃなくて、まずは星奈と恋人になって。ちゃんと順番を踏んでから、婚約したいと思ったんだ」
確かに。言われてみれば、そういう順番って大事にしたいかも。
相手を好きになって、告白して付き合って。二人の仲をさらに深めて。その先に、結婚があると思うから。
「だからアレは、子どもの頃から勝手に親に婚約なんかさせられたら困るって意味で言ったんだ」
そっか。そういうことだったんだ……良かった。
「なあ、星奈」
陽向が、私を真っ直ぐ見つめてくる。