クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました
えっ、うそ……陽向!?
ブスっとした顔でこちらへとやって来たのは、中学の同級生でただいま絶交中の幼なじみ・一之瀬陽向だったから。
「こんにちは、星奈ちゃん」
私とお父さんの向かいの席に座った、一之瀬朝陽さんがにこやかに声をかけてくれる。
朝陽おじさんは私のお父さんの高校時代からの親友で、あの“一之瀬グループ”の社長さん。
元々は、陽向のおじいさんが小さな会社を営んでいたらしいのだけど。
朝陽おじさんが社長になってから、会社はグングン急成長。
今となっては日本で知らない人はいないんじゃないかってくらいの大企業になった。
陽向は、そんな大きな会社の跡取り息子。いわゆる御曹司なんだ。
「なあ、父さん。俺、帰って良い? 俺、こいつと話したくないんだけど」
話したくない……か。
陽向の言葉に、私は胸がチクッと痛む。
「そもそも、こいつが許嫁とかありえないから」
「う……」
陽向の口から発せられる冷たい言葉の数々に、私は強いダメージを受ける。