クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました
「えー! 澄野さんって、一之瀬くんの幼なじみなの!?」
「羨ましいー!」
陽向の発言に、周りの女子の皆がまたザワつく。
ま、まさか……陽向が私と幼なじみだってことを公言するなんて。
びっくりしすぎて、私は思わず金魚みたいに口をパクパク。
「何だよ星奈、そんなに驚いて。俺は、本当のことを言っただけだろ?」
「そっ、そうだけど」
「もしかして、俺たちが幼なじみだって言ったらまずかった?」
「う、ううん!」
私は、首を何度も横にふる。
中学に入学してから、陽向は私と学校では一度たりとも話していなかったのに。
陽向ってば、急にどうしちゃったんだろう。
「へぇー。澄野さんって、ヒナくんの幼なじみなんだ。だったら、仲良くしないとねえ」
水上くんが席を立つと、私に向かって手を差し出してくる。
「えっと、水上くん……この手は?」
「これからよろしくって意味の握手だよ。オレ、星奈ちゃんともっと仲良くなりたいし?」
そういうことなら……と、初めて握った水上くんの手は、私の手よりもうんと大きくて。
普段は癒し系の水上くんだけど、彼の手はしっかりと男の子のものだった。