クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました
「まあまあ、そんなこと言わずに座れよ陽向。久しぶりに会えたんだし、おじさんと話そうよ」
私のお父さんに促され、陽向は渋々といった様子で腰を下ろす。
「真宙、星奈ちゃん。うちのバカ息子が、失礼なことを言って悪い」
真宙とは、私のお父さんの名前だ。
「ほら陽向、二人に謝れよ」
「はあ? なんで俺が……何も悪いことしてねえだろ」
「なんだ、お前。中2になって早々、反抗期か!?」
目の前で言い合いを始めてしまった一之瀬親子に、私とお父さんは苦笑いする。
それにしても、陽向の顔をこんなに間近で見るのはいつぶりだろう。
サラサラの黒髪。くっきりとした二重に色素の薄い瞳。すっと鼻筋の通った高い鼻。
顔の全てのパーツが整っていて、テレビで最近よく観る大人気アイドルにも負けないくらい陽向はイケメンだと思う。
「……はぁ、最悪」
さっきから陽向の口からは、マイナスな言葉しか出てきていない。
私って、そんなに嫌われてるのかな。
嫌われてるよね。
だって昔、あんなことがあったんだから。