クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました
「ボールの持ち方は、こう。肩や肘はリラックスさせて」
「う、うん」
陽向……ち、近いよお。
私の手に触れた陽向の手は大きくて、じんわりと温かい。
手の大きさ、昔は私と一緒くらいだったのに。陽向ったら、いつの間にこんなに大きくなったんだろう。
「星奈。今はボールじゃなく、リングを真っ直ぐ見る」
「はっ、はい!」
ダメだ。今は、シュートに集中しなくちゃ。
陽向に言われたとおり、私はリングを真っ直ぐ見つめる。
「星奈。できないって思わずに、自分を信じて」
自分を、信じる……。
陽向と一緒なら、何だかできそうな気がする。
「狙いを定めて。はい、シュート」
陽向の声に合わせて投げたバスケットボールが弧を描き、ゆっくりとリングに吸い込まれていく。