クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました
5.陽向とひとつ屋根の下
「それじゃあ、星奈。陽向くんと仲良くね」
「うん。お母さんも夜勤頑張って」
土曜日の夕方。私は家の前で、仕事に向かうお母さんと手を振って別れた。
あれから着替えとか必要なものを詰めたリュックを背に、私は近所の一之瀬家へと向かう。
一之瀬グループの社長を父に持つ陽向の家は、我が家の3軒隣の角地にあり、住宅地のなかで一番大きな家だ。
立派なお屋敷を前に、私は息を飲む。
陽向に絶交と言われたあの日から、ずっとこの家には来ていなかったから。
中学生になってからの訪問は初めてで、ちょっとドキドキする。