クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました
「母さんが、星奈にはこの部屋を使ってもらってって」
陽向に案内されたのは、リビングの向かいにある8畳ほどの和室。
この和室に入るのは初めてだけど。ダークブラウンの畳や天井に、レトロな和モダンのインテリアが並んでいてオシャレ。
「ここ、自分の部屋だと思って星奈の好きに使っていいから。それじゃあ」
「あっ。待って、陽向」
私を部屋に案内すると、すぐに陽向が出て行こうとする。
「あの、これから毎週土曜日……よろしくね」
私がそう言うと、なぜか陽向にふいっと顔をそらされる。
あ、あれ? 返事してくれないなんて私、何かまずいことでも言った?
「えっと、それで……今日の夕飯のことなんだけど。陽向、何が良い? リクエストがあれば、私作るよ」
「……別に、無理して作ってくれなくて良い。コンビニで適当に買って食うし」
それだけ言うと、陽向は今度こそ部屋から出て行ってしまった。