クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました
「……どうした?」
うつむき、私が痛む胃にそっと手を当てていると、突然誰かに声をかけられた。
顔を上げると、いつの間にか私の目の前に陽向が立っていた。
「星奈、なんか顔色が悪いぞ?」
「あっ……えっと、ちょっと緊張しちゃって」
「そっか。緊張するよな。俺もバスケの試合のときはそうだから、分かるわ」
「え?」
まさか、緊張とは無縁そうな陽向が緊張するなんて。
陽向の意外な言葉に、私は目を丸くする。
「でも、ここにいる大抵の人は星奈と同じようにみんな緊張してると思うから。そんな身構えずに、楽しんだら良い」
陽向が、私の肩にポンと手を置く。
「それに、あれだけ毎日練習頑張ったんだから。星奈なら、絶対に大丈夫だ」
「陽向……」
陽向に大丈夫って言われたら、不思議と大丈夫な気がしてきた。