クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました
「ありがとう。やる前から、つい弱気になっちゃってた。私、頑張るよ」
私は、陽向に向かって微笑む。
「やっと笑ったな。やっぱり星奈は、笑った顔が一番だ」
ふっと笑うと、陽向の大きな手がぽんと私の頭にのせられる。
「今日は、お互い頑張ろうな」
そう言って陽向は、水上くんたちの元へと走って行った。
私はそんな彼の背中を、しばらくじっと見つめる。
「ふふ。試合の直前だっていうのに。わざわざ、星奈のところまで走ってきてくれたなんて。優しいね〜、星奈の幼なじみクンは」
耳元で話しかけられハッとすると、私の隣にはニヤニヤ顔の天音ちゃんが立っていた。
「え、試合の直前!?」
「うん。ウチのクラスのバスケの男子チームは、もう初戦が始まるみたい」
「そうなの!?」
ピッ!
するとホイッスルが鳴り、陽向や水上くんたちがコートに整列するのが見えた。
まさか、そんなときにわざわざこっちに来てくれたなんて。
「ねぇ。あたしたちは、試合開始までもう少し時間があるけど……どうする? 一之瀬くんたちの試合見る?」