クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました


あのときは、お互い売り言葉に買い言葉なところもあったかもしれないけど。


それ以来、陽向とは気まずくなっちゃって。


今までみたいに、話せなくなってしまった。


学校でも家でも、何となくお互いに避けてしまって。


陽向とこんなふうになるのなら、あのときウソだなんて軽い気持ちで言わなきゃ良かった。


あの一件で私は、一度口に出してしまったらもう取り返しがつかないってことを。

言葉ひとつで大切なものを失うこともあるんだってことを、身をもって感じたんだ。


それから陽向とは一度も話すことがないまま、3年の時が流れて今に至る。


そんな状態だというのに、まさか陽向が許嫁だってことが判明するなんて。


「昔、俺たちにそれぞれ娘と息子が生まれたら、将来結婚させたいって話してたんだよ。なあ? 真宙」

「ああ。星奈と陽向には、びっくりさせちゃったかもしれないけど。それが俺たちの夢だったから。キミたちが赤ん坊の頃に、結婚の約束をしたんだよ」


そうだったんだ。陽向はこのこと、知ってたのかな?


向かいに座る陽向のほうを見ると、偶然彼とバチッと目が合ってしまった。
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