クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました

私は、ふいに横から電撃をくらったような気分になる。


中学2年生になって、陽向と許嫁だということが分かって。

陽向に、球技大会のバスケの練習に付き合ってもらったり。

私の作ったハンバーグを、美味しいって褒めてもらったり。

雷を怖がる私のことを、陽向が優しく抱きしめてくれたり。


以前よりも陽向と関わることが増えて、彼にたくさん優しくしてもらってたからウッカリ忘れかけていたけれど。


──『俺は別に、せーなのことなんて好きじゃねえよ』


私は小学生のとき、すでに陽向に振られているんだった。


それなのに……陽向の口から発せられた言葉にまたショックを受けるなんて。


私は、一体なにを期待していたんだろう。


少し前に陽向に『これまで通り幼なじみの関係に戻ろう』と言われたからって、彼が私のことを好きっていうわけではないのに。


「……星奈ちゃん、大丈夫?」


私の斜め向かいに座る水上くんが、心配そうに声をかけてくれる。


もしかして、顔に出ちゃってたかな?


「良かったら、これどうぞ」


水上くんが、私にイチゴのキャンディをいくつか渡してくれる。


「ありがとう」


水上くんからもらったキャンディを、私はさっそく口に含む。


水上くんの優しさと、イチゴの程よい甘みが、傷ついた心をほんの少し癒してくれた。
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