クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました
『ばーか。ちげえよ』
今日の昼休みに学食でそーちゃんに、私のことを好きなのかと聞かれたときの陽向の声が、ふと頭の中を過ぎる。
今は、なんとなく陽向と顔を合わせたくないかも。
「えっと、私はちょっと……」
「あたし、バスケしている想良くんを見てみたいの。お願い! ひとりで体育館に行く勇気なくて」
天音ちゃんは今日、そーちゃんに落とし物を拾ってもらったらしく、そのときの彼のキラキラした笑顔に心を撃ち抜かれたのだとか。
それから、完全にそーちゃん推しになったみたい。
天音ちゃんにはさっき、ノートを運ぶのを手伝ってもらったしなあ。
「分かった。いいよ」
「ありがとう、星奈」
天音ちゃんについて体育館に行くと、そこはたくさんの女子であふれていた。
「あっ! もしかして、星奈ちゃんと天音ちゃんも見に来たの?」
球技大会のとき、同じバスケチームだったクラスメイトのアサミちゃんに声をかけられる。
「うん。あたしは想良くん目当て」
「わたしも! 一之瀬くんとこうちゃんも良いけど、想良くんもかっこいいよね」
アサミちゃんが、私と天音ちゃんが見えるようにと場所を空けてくれた。
せっかくなので、そこから見てみると。