クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました
陽向と目が合いそうになって、ふと先日彼にお姫様抱っこされたときのことが頭を過ぎる。
あのときは、背中や足が陽向と密着して。
とにかくやばかった。
おでこにボールが直撃した私は、あれから陽向に抱きかかえられたまま保健室に行って。
養護教諭の先生に、手当してもらって。
脳震盪とか何もなく、幸い軽い怪我ですんだ。
だけど、陽向にお姫様抱っこされたときのことを思い出すだけで、今も頬が少し熱くなるんだよね。
それに私、あのとき陽向が好きだってことを改めて実感して……。
「どうしたの、星奈。なんだか顔が赤いよ?」
「えっ!」
「もしかして、一之瀬くんのことでも考えてた?」
「ちっ、違……っ」
天音ちゃんにズバッと言い当てられ、ポポポッと頬の熱が更に上昇するのが分かる。
「ほんと星奈は、そういうとこ素直で可愛いんだから〜」
「もう。天音ちゃん、からかわないでぇ」
私にギュッと抱きついてくる天音ちゃんに、これ以上赤い顔を見られたくなくて。
私は、自分の顔を手でおおい隠した。