クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました

隣にいる水上くんが、カバンから数学の問題集を取り出す。


「あ、やばっ。オレ、ペンケースを教室に忘れてきたみたい」


カバンの中をゴソゴソしながら、水上くんが焦ったように席を立つ。


「オレ、教室に取りに……」

「えっと、あの……水上くん。良かったら、私のシャーペン使う?」

「えっ、いいの?」

「うん、どうぞ」


放課後の今、教室はきっと鍵がかかってるし。

1階の図書室から職員室に鍵を取りに行って、そこから3階にある教室まで行くのは大変だろうから。


「消しゴムも、良かったらこれ使って」


私はお互いが取りやすいようにと、そばに置いてあった消しゴムを自分と水上くんの間に移動させる。


「ありがとう。星奈ちゃんって、ほんといい子だよね」

「いやいや。私なんて、全然だよ。それを言うなら、水上くんのほうが……」

「そういう謙虚なところもまた良いな。オレ、星奈ちゃんのこと本気で好きになっちゃったかも」
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