わたしの初恋
「最悪、無理、絶対この人だけは仲良くなれない」

それが、私のあなたへの第一印象でした。


4月の桜が咲く頃、私の新しい人生の始まり。

真新しい制服に身を包み頑張って整えてきた髪の毛が風になびきながらもとぼとぼ歩いて向かうと、

ドーーーーーーン!!

横から何かにぶつかられて驚いた私のすぐ横にいたのは、
私の中学からの大親友、椋木 里奈《むくのき りな 》


「心逢ーーーー、おはよう!! これからまた3年間よろしくね」

里奈はこんな朝でも、どんな時でもいつも元気で皆の盛り上げ役。

中学の頃も皆の人気者で男の子からも超超超モテモテだった。

透き通ったような透明のお肌に、クリっとした大きい目。お顔がものすごく小さくて、アイドルみたい。

そんな里奈は何故か私とずっと仲良くしてくれている。

怒らしたら怖いし、悪口は少し多めだけど、一緒にいるとすごい楽しいから、いつも一緒。


「里奈はすごいね、緊張とかしてないの?」

「全然!むしろ楽しみだよー〜」

明るくいつも通り気さくに応える里奈。


私は、新しい生活を前に、緊張と不安でいっぱいだ。


高校生活、私は1つ目標を立てていた。
"はじめての恋をすること!"

今どきの高校生にしたらなんてしょうもない目標だよってなりそうだけど..................

何でそんな目標を立てたかって、だって──────


私、まだ初彼氏どころか、初恋もまだなんです!!!!!

周りのお友達は皆、「彼氏と最近どう?」とか言う話をする中いつも1人だけ話についていけない。

高校生ってキラキラしてて青春ってイメージすごいから。

だから、絶対、絶対、絶対!!!

初恋、初彼氏掴みます!!!
里奈と二人で入学式の看板を前に校門をくぐった先にある、クラス表の張り紙の前に足を揃えると.......

「え!待って!同じクラスじゃん!」

里奈の大きい声が響き渡り、周りからの視線が私たちに集まった。

でも、周りなんか気にしてる場合じゃない。

里奈と同じクラスになれたんだ。

「やったーーー!嬉しすぎるね!」

そう言って幸せの頂点にたちながら2人で教室に入るとその先には────────


「嘘でしょ..........わ、た、しの、大好きな、大好きな、神楽木 凛(かぐらぎ りん)にそっくりの男の子が座ってる.......」

神楽木 凛 (かぐらぎ りん )は、私がずっと前から大好きな推しのアイドル。

やばい、やばすぎるよ、カッコよすぎるよ............

私、もう早速、恋しちゃったかも。
とりあえず席に座って落ち着こう。

でも、同じクラスにいるってことは、、、

これから1年間一緒!?!?!?

私、最大のチャンスじゃん!!!


━━━━━━━━チャイムが鳴り渡る


皆が自分の席につき、教室にはは担任の先生らしき人が入ってくる。
今日の入学式の流れを説明されて私たちは皆廊下へ並び、全校生徒が集まる体育館へと向かう。

教室から出て列に並ぶ時、他のクラスの生徒が皆、私たちのクラスを見ながらざわついている。
私はよく分からないまま、体育館へ向かった。

「新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。────」

と、よくある入学式の定型文を話し始める校長先生の挨拶が終わると、次は新入生代表の挨拶。

私は、頭の中があの男の子でいっぱいで、それどころではなかった。でも、

ザワザワザワザワ・・・・・・・・

急に体育館中がざわつき出した。
新入生代表の人が挨拶しているみたいだけど、そんなにざわつく要素はあるのかな

なんて思いながら終わるのを待っていた。

ようやく式が終わり、またクラスへ戻った。
ここからは自己紹介が始まるらしい。

あーー1番嫌いなやつだ。地獄だよ...........
なんて思ってると、、、ガタッ

席を立ち上がる1番前の席の男の子、
「初めまして、赤瀬蓮です。1年間よろしくお願いします。」
と、少し緊張気味に自己紹介する彼。

そう、私の推しに激似の彼!!!
「はぁ、名前までかっこいい......」と、呟く私。

そういう内に順番はどんどん進んでいった。
1人の男子生徒が立ち上がるとクラス皆が静まり返り、その男の子に視線が集まった。

やけにオーラを感じ、私もそっちに視線を送る。


「橘 響 (たちばな ひびき)です。部活はサッカー部です。これから1年間よろしくお願いします。」

と少しクールめに話す彼。

すると後ろの席から、
「心逢、今の橘くんって知らない??中学でも学校一の完璧男子で超激モテだったらしいよ。想像以上のかっこよさってゆーか、私でも惚れちゃいそうだわ」
と言う里奈に私は全くよく分からなかった。

確かに顔はかっこいいかもしれない。全く私のタイプでは無いけど。

スポーツしてる人ならではの少し焦げた肌の色にサラサラの髪の毛。目はぱっちり大きくて、鼻がすごく高くて横顔のフェイスラインがすごい綺麗。

勉強もトップクラスにできてサッカーも色んな高校から推薦が来てたくらいの才能なんだとか。

頭も良くて運動神経も良くて。おまけに、顔もかっこいい。
いわゆる、"完璧男子"

あれ、もしかして、この人がさっき入学式で新入生代表の挨拶をしてた人か。

入学式へ向かう廊下も代表の挨拶も、ザワついてたのはこの人が理由ってことか。

私は絶対こうゆうなんでも出来るモテ男っての無理だ。。
絶対にナルシスト入ってるし遊び慣れてそうだもん。

「私は絶対この人とは仲良くなれない」
そう心の中で確信した。

私も里奈も無事に自己紹介を終えて、帰る前に私たちは3人の女の子と仲良くなり私たちは5人グループとなった。


帰った日の夜、早速クラスのグループチャットが出来ていた。
招待された私は、拒むことなくグループへ入った。

私の最推し赤瀬くんはいるかな〜なんてウキウキしながらグループのメンバーから探していると、

ピロンっ───────
スマホの通知音が鳴った。

もしかし、赤瀬くんから!?なんて飛んだ妄想を膨らましていると、まかさのまさか───


通知音の先は、あの"橘 響"だった。


『いきなり追加してごめん。クラス同じなんで、よろしく』


「いやいやいやいやいやいやいやいや、無理無理。
いきなり追加してくるなんてさすがモテ男は違うね。
私やっぱりこうゆう人無理だわ。皆にこんなことしてるのかな。」

私は、『宜しくね〜』と人並みの返事を返した。
明日、里奈にも遠回しで聞いてみることにしよう。


次の日の朝学校へ着くと私以外の4人みんなはもう来ていたみたいでみんなでなにか楽しそうに話をしている。

私たち5人のグループは、入学して早くも比較的クラスでは上の階級みたいなところに属していた。

私もその中へ入ってみると、どうやら恋バナをしていたようだ。

「ねぇ!心逢はクラスでかっこいいと思う男の子とかいなかったの?」

といきなり話を振られる私は焦って、「いないかなっ」と答えてしまった。

あーー私のバカ。赤瀬くんがいるじゃん。
でも、推しに似てるからとかも言えないからこれはもう隠し通すことにしよう。そう決めた。

「逆にみんなは?」と聞くと、里奈がいきなり、、


「はい!私、、実は................橘くんに一目惚れしちゃいました!」


━━━━━━は、はいっ!?

やばい、まずい、私、昨日LINE来たばっかりだよ。
これ、言うべきなの??

驚きを隠せないままでいると、他の子達が、

「分かる〜カッコイイし頭も良くてスポーツもできちゃうなんてずるいよね」

なんていって、みんなで共感し始めてしまった。

恐る恐る、「もう橘くんと少しは話せたの?」と聞いてみると、

「まだ全く!一目惚れだもん。なかなか話しかける勇気出ないな〜」

なんて珍しく、チキっている里奈に驚くべきところだけど、それより驚くのは、皆にメッセージを送っているわけではなかったってところ。

なんでよりによって私には来てるの............
なんの嫌がらせだよ(怒)なんて思いながら、授業が始まった。


結局里奈にLINEのことは言えないまま、時間が過ぎていく。

そして、橘くんも現実では全く話しかけてこないので、有難いような、気まずいような複雑な気持ちでいっぱいだ。


やっぱり、メールと現実じゃなかなか違うし話しづらいもんだななんて考えていた。












< 1 / 1 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop