狂おしいほどに、抱きしめて〜エリート社長と蕩けるような甘い蜜愛〜
「俺は結婚しても、栗花落が続けたいなら会社に居てほしいし、一緒に仕事がしたい。栗花落が満足するくらい追いかけるし、社内恋愛ならではのドキドキも全部叶えてあげられる」

「……そ、そうですか?」

翔は大きく頷いた。

「ああ。俺は栗花落が溺れるくらい愛せるし、栗花落のことを守ってあげられるくらいの財力はある。栗花落のしたいことは全部させてあげられるし、欲しいものは全部――」

「欲しいものは自分で買いますので!」

すると、翔は少し拗ねた。

「たまには、俺にもプレゼントさせて?」

彼の拗ねたようなお願いに、私は小さく笑って答える。

「……プレゼントくらいでしたら、いいですよ?」

すると、翔はパァッと花が咲いたような笑顔を見せてくれた。

「だったらひとまず、これを貰ってくれ」

「? なんですか?」

栗花落が首を傾げると、翔はソファから立ち上がる。
そして、書斎の引き出しから一つのシルバー色のアクセサリーボックスを取り出すと、一切の躊躇なく栗花落の前に差し出した。

「いつか、いつかプレゼントしようと、ずっとここにしまっていたんだ」

「ずっと?」

「ああ。開けてくれ」

言われるまま、栗花落は箱を開く。
すると、そこにはひと粒の真珠のネックレスが入っていた。

真珠は大きく、光沢がある。
真っ白な輝きの中に、天然ものと思わせる虹色に輝く部分があり、とても綺麗な一品だ。

「このさりげない上品さが、栗花落にぴったりだと思ったんだ。栗花落は普段、あまりネックレスをしないからそういう習慣がないのかもと思ったのだが、それなら俺がたくさんプレゼントすることでつける習慣になればと思って――」

つらつらと説明してくれる翔を見て、栗花落は心の中で思う。

(もしかして、ずっとこれを、『私に渡すために』引き出しの中にしまっていたの? えっ……。私、こんなにも近くに、自分のことをずっと想ってくれている人がいたの?)

「……つけてもいいか?」

ワクワク、ソワソワするような眼差しを向けてくる翔に、何故か傷心中のはずの心が、大きく揺さぶられる。

(さっきまで涙が止まらなかったのに、いつの間にか止まってる……。いきなり社長から告白されて、驚いたから? それとも……嬉しかったから?)

つくづく、イケメンというのは恐ろしい。
もう一生立ち直れないと思っていた五分後には、こんなにもドキドキとした気持ちになれるのだから。

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